古来より、日本人の精神文化の一つとして
【お焚き上げ】と呼ばれる行事・儀式が今日まで受け継がれております。
あらゆるものには神聖な霊が宿っているものと信じられ、その終焉には浄火をもって天界へ還す事こそ、人としての礼の尽くし方と考えられて来たものと思われます。
魂が宿っているように思えて粗末に扱うことができない品物を、寺院や神社などで僧侶や神主がご供養し、焼却することです。
お焚き上げする物には、お仏壇、お位牌、護摩札および学業成就、交通安全等のお守りなどです。
「魂の宿ったもの」を処分する作業が【お焚き上げ】ですが、つまり品物を焼くに先立って、魂を抜く処理をすることが推奨されます。
その「魂を抜く作業」は「閉眼」もしくは「御魂抜き」と呼ばれますが、通常は僧侶や神主が、独特の手法により行います。
私たちはこの国に生まれ、暮らす中で、長い間、「魂の宿ったものは、魂を抜いてから処分する」という風習を尊重してきました。
先人の知恵の尊重は大事なことですので、少しでも気になるところがあれば、僧侶や神主に依頼して「魂を抜いて焼却」というまっとうなお焚き上げの手順を踏むことをお勧めします。
現在では、環境問題等の観点から境内での焼納は自粛化の傾向を辿っております。
故人の遺品、仏事・神事に関するもの、思い出の深い品々のご焼納は真心を込めた「送り方」の一つとしてお考えいただければ幸いです。
最近では、亡くなられた方のさまざまな遺品やご自分の想いが込もったものの【お焚き上げ】を希望される方も増えてきました。
例えば写真、人形、ぬいぐるみ、手紙、衣服、書籍などですが、これらは必ずしも「魂が宿っている」という解釈はしません。
しかし、愛着があるこれらの品物について、手放す際に感謝の気持ちを込め、礼を尽くし、別れを告げることで、心の安定を保つことができます。
僧侶は一定の手法を用いて気持ちをこめてご祈祷し、お祓いをしたうえでお焚き上げを行います。